歴史は繰り返さないが韻を踏む

2019年01月16日

無題.jpg皆様新年あけましておめでとうございます。

今年は干支でいうと、己亥。ちょうど私が生まれた1959年が己亥でしたので、一巡したことになります。当時は皇太子のご成婚、東京オリンピックの決定、岩戸景気の真っ最中という活気のある一方で、伊勢湾台風、また大学紛争も盛んな時期でもありました。「歴史は繰り返さないが韻を踏む」という言葉の通り、2020年に東京オリンピック、2024年に大阪万博が決まるなど、当時の活気とは比べ物にならないですが、それでも日本の波動がデフレ真っただ中の時代と比べると随分と高まりつつあるのを感じます。さらに、ちょうど世界中で子供の頃に日本のアニメを見て育った世代が20、30代になっており、日本に対する理解や親しみを持つ人々が社会人として影響力を持つようになって来ています。外国人観光客の増加は、単なる偶然とは思えません。

昨年はさまざまな出来事がありましたが、その中で私が注目しているのは米中関係です。表面的には貿易摩擦のようですが、明らかに覇権を争う米中の新冷戦時代が始まったと言われています。それが明確に示されたのが昨年10月にペンス副大統領がハドソン研究所で行った40分以上に渡る演説で、はっきりと中国に対峙する姿勢が示されました。

さらに一見関係なさそうですが、シリアからのアメリカ軍の撤退もその意志の強さを表していると考えられます。イスラエルとの関係や中東での影響力を犠牲にし、マティス国防長官を辞任に追い込んでまで何故アメリカがシリアから撤退したか。シリアでの抗争は、実際はアメリカとロシアの代理戦争でありました。いくら世界最強のアメリカでも、中国とロシア両者を同時に敵に回すこととは戦略上避けなければなりません。シリアからの撤退は、ロシアとの抗争を止め、ターゲットを中国に集中するための明確なアメリカの意思表示といえるでしょう。

ちょうど今から30年前の1989年、11月にベルリンの壁が壊され、12月にマルタ会談で事実上、米ソの冷戦が終結しました。それから30年を経て、世界はふたたび新たな冷戦へと時代の駒を進めています。一見すると、不穏な空気が漂い始める嫌な時代の到来のような気もしますが、アメリカにとって日本の存在が再び大きくなって行く点は、ここでも世界における日本のプレゼンスを高めるチャンスになりそうです。

さらに長期的に見れば、日本、中国、インド、その他アジアの経済力の増大は、世界の中でのアジア的な価値観を助長するでしょう。また中国に変わり、多神教であるインドが台頭する時代になれば、今まで世界を支配したユダヤ教、キリスト教、イスラム教という、砂漠で生まれた自然を人間が克服すべき敵とみなす一神教的価値観から、人間も自然の一部とみなす日本を含めた多神教的価値感が、社会や医療の世界まで大きく影響を与える時代になるでしょう。

平成元年には世界時価総額ランキング上位50社中に32社も存在した日本企業ですが、平成30年はわずかトヨタ一社が35位に入るのみとなりました。ここ30年で、世界の中での存在感をすっかり喪失してしまった我が国ですが、ようやく日本復活のサイクルがめぐって来ています。金融市場もしばらく不安定な時期が続くかもしれませんが、長期投資家には絶好のチャンス。しっかり世界に通用する日本企業も応援しながら、また日本人として、新しい時代の世界の模範となるような生き方を目指したいですね。本年もよろしくお願い致します。

多根幹雄
執筆者
多根幹雄
クローバー・アセットマネジメント株式会社
代表取締役社長 運用統括責任者
スイス、ジュネーブに1999年から9年間駐在し、グループ企業の資金運用を担当してきました。その間、多くのブライベートバンクやファミリーオフィスからの情報により、世界18カ国100を超えるファンドマネージャーを訪問。実際投資を行う中で、良いファンドを見極める選択眼を磨くことが出来ました。また当時築いたスイスでのネットワークが現在の運用に大いに役立っています。また、大手のメガネ専門店チェーンの役員として実際の企業の盛衰も経験し、どんな時に組織が良くなり、また悪くなるかを身をもって体験しました。そこから、どんな企業やファンドにも旬や寿命があるというのが持論です。その為、常に新しいファンドを発掘し、旬のファンドに入れ替えを行うことで、長期で高いパフォーマンスを目指しています。

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