「今だけ、金だけ、自分だけ」の次へ

2022年02月09日

swiss_franca 小.png米中冷戦が公然のものとなり、新型コロナの登場で世界が分断されることで、1989年以降続いていたグローバリゼーション拡大の流れが大きく逆流しています。拡大しつつあったEUも、イギリスの離脱で大きく方向転換しています。

1989年11月にベルリンの壁が崩壊した時、漠然とこれからは良い時代が来るような気がして、世界の多くの人々が歓喜でこれを迎え入れました。そういえば、関連会社のメガネ店でも、当時お客さまにベルリンの壁の一部をプレゼントしてお祝いした覚えがあります。確かにその後グローバリゼーションは、人、モノ、金の動きを自由にし、活気に満ちた時代となり、インターネットの普及がさらにその流れを加速させていきました。

しかし、その一方で、この時代は何十倍もの賃金格差のある西側の11億人と東側の30億人の経済圏間の扉が開かれ、世界規模での競争が始まった時代でもあります。先進国においては中産階級が崩壊、日本でも倒産を逃れることが出来た企業は、国内ではリストラや非正規雇用の拡大を手掛ける一方、海外の安い人件費を活用すべく海外投資を増大させ、利益を蓄積していきます。世界的な資本家と労働者の格差拡大も、このような大きな流れがあったということですね。各国の政治家もこれを「 規制緩和」「 自由化」「 民営化」という新自由主義的な政策で推進していきます。このような世情を反映して、特に先進国では「 今だけ、金だけ、自分だけ」といった寒々とした風潮が広がっていきました。ある意味、自分を守るのが精いっぱいの時代だったのでしょう。

では、新しい時代はどうなるのでしょう。今までの反対ということならば「 長期で、本当の豊かさを考えて、皆の為、地域の為、地球の為に」ということでしょうか。そういえば、最近、世論もそのような価値観に変わってきたような気がしませんか?そこで私が注目しているのが、本来、昔から存在する日本的価値観です。

例えば、アメリカ人や中国人はメイキングマネーが善であり人生の目的であることを隠しません。もともと生存競争や変化の極端な国ですから、お金しか信用できないというのもわかります。ですから、もっともらしい経営理念や社会貢献というのがあっても、目的を達成する為の手段と割り切っている感があります。以前、関連会社のアメリカ法人で社長をした際、経営理念の説明で各店をまわりましたが、彼らの理解は「 なるほど、そういう考え方だとビジネス(=お金)が上手くいくのね」といったものでした。逆に日本ではお金にばかりこだわる人間や企業は軽蔑されてしまいますよね。

また、投資の世界では「 長期」といっても3年からせいぜい5年でしょうが、本質的な経営者にとって、長期は30年です。何故なら経営者にとって一番大事なテーマが次代、次々代の経営者の育成であり、その為には一世代、30年くらいの時間が必要だからです。日本では寿命の長い企業が圧倒的に多いのですが、日本の企業が、より長期志向であることも、その根拠の様に思っています。

また、社長の所得をみても、一般的に社員との格差はアメリカのように極端に大きくありません。事務所も大部屋だったり、社員食堂で一緒に食事をしたり、中にはトイレ掃除に精を出す社長もおり、皆の尊敬を集めています。「 質素倹約」も日本企業の家訓によくみられる言葉です。そもそも株式会社という概念が西欧から輸入される前は、会社が株主のものであるという意識はなく、お客様や社員、それに取引先や地域社会など、皆のものという意識が強かったと思います。今や日本でもM&Aが盛んになりましたが、価格だけでなく、従業員の処遇を優先的に考えて売却先を選ぶのも、日本企業の特徴だと思います。

そういう意味で、グローバリゼーションが転換期を迎えた今こそ、欧米に学ぶことだけでなく、日本の古きを訪ねることも、必要なことだと思います。「 長期で、本当の豊かさを考えて、皆の為、地域の為、地球の為に」を考える、新しい時代にマッチしたファンドを選別する一方、「 カッコイイお金の使い方」を目指す「 活かす」セミナーも、是非力を入れていきたいと思います。今後もどうぞよろしくお願いいたします。

多根幹雄
執筆者
多根幹雄
クローバー・アセットマネジメント株式会社
代表取締役社長 運用統括責任者
スイス、ジュネーブに1999年から9年間駐在し、グループ企業の資金運用を担当してきました。その間、多くのブライベートバンクやファミリーオフィスからの情報により、世界18カ国100を超えるファンドマネージャーを訪問。実際投資を行う中で、良いファンドを見極める選択眼を磨くことが出来ました。また当時築いたスイスでのネットワークが現在の運用に大いに役立っています。また、大手のメガネ専門店チェーンの役員として実際の企業の盛衰も経験し、どんな時に組織が良くなり、また悪くなるかを身をもって体験しました。そこから、どんな企業やファンドにも旬や寿命があるというのが持論です。その為、常に新しいファンドを発掘し、旬のファンドに入れ替えを行うことで、長期で高いパフォーマンスを目指しています。

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