本当の戦争はこれから

2020年6月 9日(火)

今年の3月16日の夜、「これは戦争だ!」というフランスのマクロン大統領の勇ましい演説に象徴されるように、多くの各国首脳や各自治体の代表が、陣頭指揮を執り、新型コロナの封じ込みに突入しました。世界のマスコミは常にトップニュースでコロナを取り上げ、連日のように感染者数(実際に発病した患者数ではない)や死者数を報道し続けます。世界中の多くの人々が見えないウイルスによる死の恐怖に怯え、何か月も家に閉じこもりました。日本などでは、毎年のインフルエンザの死者数(日本の場合は直接・間接の影響による死者が約一万人)を遥かに下回る被害でしたが、それでも、出来のいいホラー映画のように、人間は正体がわからない時は極端に恐怖を感じるようです。しかし、本当の意味で戦っていたのは、感染者を受け入れていた病院の医療スタッフなど一部の人だけで、逃げまどっていた我々の本当の戦いはこれからだといえます。

まず生き残りをかけた戦いがあります。世界中の企業経営者の多くも、資金繰りに奔走し、やむなく社員の解雇に手を付けるケースが目立って来ました。アメリカでは一時失業率が17%を超え、その後急激に回復しつつあるものの、生活の困窮や将来への不安が、白人警官による黒人男性殺害を機に爆発し、デモや暴動としてアメリカ全土に広がりをみせています。国家も、財政の悪化という未来へのリスクを冒しつつ、経済の再生のためにあらゆる手立てをとろうと躍起になっています。個人も、企業も、国家も、特にもともと弱い立場のものが、コロナとの戦いの犠牲者になろうとしていますし、今回ばかりは強い立場の者でさえ、生き残りが保証されているわけではなさそうです。

次に、感染のリスクと恐怖と戦いながら日常を取り戻す戦いがあります。適度な感染回避は当然としても、ウイルスよりも怖いのが、「自粛警察」なるものが出現するまで高まってしまった人間による風評被害でしょう。中にはそれで自殺に追い込まれる人もいるようです。人々が小さな正義で一部の人を追い詰めるかつての「非国民」という言葉が連想されます。あるいは「今だけ、自分だけ、ここだけ」助かればいいという、身勝手な目先だけの気持ちもあります。今や大きくなってしまったそんな人々の「心の感染」と戦いながら、通常の社会活動を再開することは、なかなか困難で長い戦いになりそうです。

三つ目の闘いは、コロナを機に訪れる大きな環境の変化を活かして、どう飛躍していくかというテーマです。コロナの終息にはまだまだ時間がかかりそうですが、終息したとしても以前のままの世界には戻らないでしょう。水面下で進行していた変化が、コロナを機に大きく表に現れ、まるで、3~5年ワープしたような世界が出現することになりそうです。この大きな変化をいかにプラスにするか。個人にとっても、企業にとっても、国にとっても、大きな分かれ目になる時代です。

そして、コロナを完全に終息させるためには、我々の体の中に抗体が出来る必要があります。これを人工的に行うのがワクチンですが、一番確実なのは、体が元気な時、またウイルスが不活性な夏の間に、本物のウイルスとの接点を持つことのようです。ただリスクを最小限にするために必要なのが免疫力の強化です。

この免疫力に関して先日とても面白い先生にお会いました。東京医科歯科大学名誉教授の藤田紘一郎さんです。回虫を自分のお腹で育ててニックネームで呼んだユニークな先生で、特に最近は腸内細菌の研究で有名な方です。先生によれば、免疫力アップに大事なのは70%が腸内細菌、30%は気持ちだということです。

腸内細菌の活性化には食物繊維の摂取が不可欠ですが、現代人は腸内細菌の餌である食物繊維の摂取がかつての三分の一まで減り、また子供時代にあまりにも清潔な環境に居過ぎて充分な腸内細菌が取得できないため、腸内細菌が激減し、免疫力も低下してしまっています。花粉症、アトピー、鬱(うつ)などの慢性疾患はこの腸内細菌の激減が原因だということです。さらに気持ちの問題でいうと、極度に恐れたり、怒ったりするのはご法度ですね。笑ったり、楽しんだり、感謝の気持ちを持つことが大事です。ちなみに免疫力がアップしたかどうかは簡単にわかる目安があります。それはウンチの量が増えることだそうです。ちなみのウンチの60%は水分、20%が腸内細菌とその死骸、15%が腸粘膜細胞の死骸、食べかすはわずかに5%だそうです。

食物繊維をたっぷりとって、楽しく、感謝をしながら、元気な日常を取り戻して、このコロナとその後の時代を大いに活かしたいものです。

Mikio3.jpg多根 幹雄