長期の企業成長を約束するもの

2019年8月 9日(金)

IMG_0588.jpgFRBの10年半ぶりの利下げ、米中の貿易摩擦、イラン問題、日本の消費税アップ、それに目前に迫ったイギリスのブレクジット等々、このところ金融市場を揺るがすトピックスに事欠かない毎日ですね。そんな時、いきなりの猛暑で夏バテぎみの体では、長期投資を続ける気力が途絶えがちになっているかもしれません。でも、こんな先の見通しがつきにくい投資環境だからこそ、一度原点に返って長期投資に値する企業について考えてみたいと思います。

まず長期で成長する企業の条件とはどんなものでしょうか。私はそれは二つあると思っています。一つ目ははその企業が対象としている市場が大きく成長していること。さらに言えば、単に成長する市場を選択するだけではなく、自ら新しい成長市場を「創造する」ことが出来る企業は長期投資家にとって最高の投資先になるでしょう。かつての「宅配」のヤマト、「コンビニ」のセブンイレブン、「スマホ」のアップルが良い例でしょう。二つ目はその企業が他社が真似できない差別化されたノウハウを持ち、他社がその市場に参入出来ない圧倒的な障壁を形成していることです。

この参入障壁を創るにあたっては、意外かもしれませんが、企業文化が大きな役割を果たすと思っています。この30年はグローバリゼーションの進展の中、世界規模で大価格競争が進行し、企業経営者にも効率やコストなど、お金をベースとした合理的な判断が要求されて来たので、企業文化などは死語になっていた印象があります。しかし、無から有を生み出す源がこの企業文化なのです。先ほどのヤマトは小倉昌男、セブンイレブンは鈴木敏文、アップルはスティーブ・ジョブズという、それぞれに強力な個性を持ったリーダーの元に、独特の企業文化を創り出してきた企業です。独特の強い、そして顧客や社員にとって好ましい企業文化は、常に何が大事なのかを経営者や社員に示す明確な道しるべになります。そのことが時代が変わっても、革新を続ける原動力となり、顧客に対しても強力なブランドイメージを創り上げます。強力なブランドイメージは、熱烈な信奉者を生み出し、それが鉄壁の参入障壁になるのです。

昨今の大企業の場合、社長といっても任期が順送りで決められており、どうしても四半期や、今期の数値に意識が行きがちです。そして、目先の数値を求める余り、企業文化の劣化を招いてしまっていることを忘れがちです。このことがどれだけ企業にとってマイナスかは、最近のヤマトやセブンイレブンのケースを見ても明確でしょう。むしろ、優れた経営者が目指すべきは、企業文化を強化する事を通じて、その企業の参入障壁を鉄壁のものとし、長期の望ましい企業業績を実現する事であると強く信じています。

この度浪花おふくろファンドに組み入れさせて頂いたクープランド・カーディフのファンドマネジャー、ジョナサン・ドブソンさんも、サラリーマン経営者の多い大企業より、オーナー企業を高く評価していました。オーナー経営の方が50年、100年といった超長期での経営判断をしているケースが多いというだけでなく、オーナー経営者の多くが、自らの役割が、企業の理念や哲学、そして文化を継承すべきと意識しているのもその理由だと思います。ただオーナー企業は権限が集中してしまうリスクもあるため、ガバナンスの健全性はしっかりとチェックすべき点は申し上げておきます。

皆様も企業の様々な数値からたまには目を離して、その企業の文化に注目してみてはいかがでしょうか。そして魅力を感じたら、投資対象にしても良いかもしれませんよ。クローバーも、そんな愛すべき企業文化に注目する、ちょっとユニークなファンドマネジャーを世界に求めて行きたいと思います。

Mikio3.jpg多根 幹雄