「令和」をもっと良い時代にするために

2019年5月15日(水)

あやめ1.jpgいよいよ令和が始まりました。令和の時代、きっと日本にとって良い時代になる予感がします。ただ、そんなことを言うと「いや日本は少子高齢化だし、財政赤字だし、浮かれている時代でない」という意見も聞こえてきそうですね。確かに、人口動態で見ると団塊の世代が70歳代に突入し、間もなく大都市圏を中心に高齢化問題が深刻化すると同時に、どの業界も深刻な人手不足に直面しています。高齢化は財政においても収入が減り、支出が増すわけですから、この状況で大幅な赤字がある日本の財政再建などとても不可能で、日本の将来はお先真っ暗というのもなかなか説得力のある意見のように思います。

ただ、人口動態というのも怪しいもの。国の経済成長を予測するうえで最も重要な指標とされていますが、実は絶対というものではありません。例えば、平成元年の団塊の世代の年齢は40歳から42歳で、これは人口動態的にみると将にそれからが理想的な時期でした。40歳代に一番消費が増えるからです。しかし、結果は御覧の通り。平成時代の日本経済は、世界各国が大きく成長する中で、ほとんどと言っていいほど経済成長が無かった30年でした。

人手不足も経済成長にはマイナスと思われがちですが、実はそうでもありません。日本が1969年にドイツを抜いて世界第二位の経済大国に躍り出ますが、ドイツが日本の成長に負けた理由は何でしょうか。それは移民の受け入れです。ドイツは深刻な人手不足をトルコ人等の受け入れで対応しました。一方、日本は人手不足を積極的な設備投資でカバーし、生産性を飛躍的にアップさせます。実は経済成長には、この生産性のアップがもっとも重要なファクターなのです。安倍政権は右寄りだと言われる割には、移民受け入れには積極的です。経済界からの悲鳴に近い要望に応えようとしているのでしょうが、経済界もここはしっかりとした設備投資による生産性向上で乗り切ってほしいものです。

日本企業の多くは、過去収益の多くを未来投資に回さず、ひたすら内部留保として現金を積み上げてきました。どうしてでしょうか。それは特に国内において将来的に大きな需要が見込めないと経営者の多くが判断してきたからです。おそらく、その見通しは今も変わっていないでしょう。特に歴史のある企業の多くは、平成時代にリストラを体験し、それを仕切ってきた人間が評価されてきたので、現在の経営者は積極投資には及び腰です。そんな彼らが、未来投資を行うモチベーションがあるとしたら、それは人手不足を補うための、どうしても必要な投資だと言えるでしょう。そういう意味で現在の人手不足は、設備投資→生産性の向上→収益アップ→賃金アップへ→需要の創造と、かつてのデフレスパイラルから脱出できる最高のチャンスとも言えます。企業も個人も膨大なキャッシュを溜め込んで、自ら苦しんで来た訳ですから、これからは大いにお金を回していきたいですね。

さらに令和の日本人に期待したいのは、「敗戦」からの目覚めです。日本人は幕末に欧米列強の火力におののき、第二次世界大戦では民族の存続が危ぶまれるほど追い詰められ、そして平成時代、自らのやり方を否定され続けました。この三つの「敗戦」を通じて、すっかり西洋的価値観に洗脳されてしまったような気がします。特に最近気になるのは、優秀な経営者はズバッと人を切ることが出来る人だというような評価です。日本人経営者はそれが出来ないからダメだという声も良く聞きます。日本企業ももっと莫大な報酬を払ってそういう経営者を雇えと。本当にそうなのでしょうか。普通の人間の集まりでもチームワークを通じて、信じられない奇跡を起こせる事があります。本来優秀な経営者とはそれが出来る人ではないでしょうか。さらにコストカットや効率追求の中で忘れられて来たものが企業の「文化資本」です。これを集約して象徴的にしたものが企業のブランド価値かもしれませんが、これからの経営にとって最重要なファクターなので、詳しくは別の機会に。これらの復興も雅な万葉集から生まれた「令和」の時代に期待したいですね。

日本人が忘れつつある、日本独自の文化、哲学、知恵にもう一度この機会にスポットライトを当ててみましょう。そして、しっかり探求し、今の時代に活かすことで、この令和という時代が本当に素晴らしい、誇れる時代になると確信しています。

多根 幹雄