戦い方が変わる時

2019年3月11日(月)

賃金のデータ問題がマスコミを賑わしています。確かにデータの算定方法を変え、賃金アップを底上げして見せるという手法は問題外ですが、これからの状況を考えると確実に日本での賃金上昇がトレンドになりそうです。

日本で働いている人は約6600万人。600万人強が自営業者ですので、雇用者(役員も含む)は約6000万人になります。このうち、4000万人弱が正規雇用者で、2000万人強が非正規雇用です。YUKIの押谷さんのお話によると、50歳未満の正規雇用者の賃金の伸びは1.5から2%、一方、非正規雇用者の派遣単価はなんと3から5%の伸びということのようです。昨今のコンビニの24時間問題をみても、圧倒的に人材の需給バランスが崩れ、売り手市場になって来ていますし、来年4月には、いよいよ同一労働、同一賃金がスタートします。いち早く同一労働、同一賃金を導入したドイツがそうであったように、特に今まで低賃金で苦しんでいた非正規雇用の皆さんにとっては、間違いなく賃金がアップしていく時代となるでしょう。インフレの伸びがまだまだ低迷する中、このような賃金の伸びは、消費にもプラスの効果をもたらすことが期待されます。

一方、このような環境の激変の中、企業の戦い方もパラダイムシフトしていくことでしょう。人件費を筆頭とするコストがアップしてくるので、企業としても値上げは不可避となります。値上げしてお客様が減ってしまう企業と、値上げしてもさらにお客様の支持を拡大できる企業の差が、歴然としてくるでしょう。例えば回転寿司、今までは200円のものを、いかに企業努力で100円にするかの勝負でしたが、これからは300円、400円でもご満足いただけるかどうかという、付加価値の戦いになります。フィギュアスケートでいうと、今までがジャンプで何回転するかの技術点の勝負だったのが、これからは、それに加えて、いかに美しく滑り、見ている人を感動させるかという芸術点の勝負になります。

そこで大事になってくるのが、人の質とその意識です。価格競争では、安く人材を確保することに主眼が置かれていましたが、これからはいかに質の高い人を採用し、教育し、さらにモチベーションを高めるかが最重要テーマになります。従業員に対して、生き生きと楽しく働く環境を提供していくことも、企業としての重要な戦略となっていくでしょう。

こうしてみてくると、今までの競争の勝ちパターンがすっかり変わってしまうわけですから、運用の世界でも企業の選択眼を随分と改める必要が出てきます。数値や傾向の分析だけでなく、企業を人間のかたまりとしてしっかり捉えることができるかどうか。運用者の能力や経験の差がどんどん出てきそうですね。

いよいよファンドもクオリティが求められる時代です。スイスのネットワークや新しく加わった強力なスタッフの力を最大限発揮して、世界中からどんどん良いファンドを選んで、ますますバージョンアップして行きたいですね。これからのクローバーにご期待下さい!

多根 幹雄