金持ち父さん、貧乏父さん

2019年2月12日(火)

Kanemoti.jpg還暦にもなると、皆仕事でもプライベートでも余裕が出てくるせいか、まとまった人数が集まり、大学の同好会の同期メンバーでOB会を開催することになりました。そろそろ定年という事なので、何人かの年上の同級生は既に第二の人生をスタートしており、上手く転職できて上機嫌なもの、なんとかサラリーマンを続けながら、それなりに人生を楽しんでいるもの、あるいは役員昇進決定直後に急死した友人も話題にのぼり、それぞれの人生模様が垣間見え、卒業時からの変遷を感慨深く感じました。

そんな中で、一人ノータイで私服姿の友人がいました。還暦とはいえ、まだサラリーマン生活を続けているスーツ姿の友人たちの中では異彩を放っていました。今どうしているのかと問うと、バツの悪そうに「プータロー」と一言。その意味がよくわからないので、しつこく訊き出すと、不動産運用で生計を立てているとの事。アパートやマンションを首都圏各地に所有しており、その家賃収入で生活しているそうです。彼は同期ではテニス部のエース、成績も私と違ってオールAに近く、当時一番人気の1つの優良外資に就職します。ただ、家が資産家というわけではなったので、大地主になっているとは夢にも思いませんでした。

彼に言わせれば、上場会社、特に彼のような超優良企業のサラリーマンの最大のアドバンテージは「信用力」がある事だそうです。社内の評価にかかわらず、銀行は彼の会社の信用でいくらでも融資してくれるというのです。彼はその信用を最大限に活用し、良い物件が出るたびに、コツコツと賃貸不動産に投資をしていきます。1パーセントを切る金利を払い、5パーセントくらいの家賃収入を得ているのです。その結果、お金から解放されて、55歳で退職、全く自由な生活を手に入れました。さわかみ投信の澤上会長がよくお金にも働いてもらえとおっしゃるのですが、彼は1パーセントを切る金利で「人のお金」も働かして、今日の自由を得たと言えます。もっとも、不動産投資は誰でも出来るものではありません。そもそも市場に出ている売り物件情報はほとんどが「売れ残り」で、良い物件は市場に出る前に瞬時に売却されてしまうので、それなりのノウハウは必要とのことでしたが。

彼がそのような投資を思い立ったのは、かのベストセラー「金持ち父さん、貧乏父さん」を読んだことがきっかけだったそうです。ベストセラーですからあの本読んだ人は当然沢山いた(実は私もその一人です)でしょうが、それを実践した人はどれだけいるでしょうか。むしろ、ほとんどの人がゼロ金利で自分のお金を自分ではなく、他の人のために働かしているのが現状でしょう。外資系企業の場合は定年を迎えるまで在籍するのはそう簡単ではないとは言え、あえてサラリーマンとして生きる普通の道を選ばず、独自の道を選んだ彼の決断には素直に感心しました。

ただ、今や「金持ち父さん」になった彼ですが、特にやりたいことも無く、毎日美術館に行ったり、映画を見たり気ままに遊んで暮らしているとの事。一番自由なはずの彼が、一番元気がなかったのも、妙に印象に残りました。やっぱりお金から自由になる事だけでなく、その後の生き方がいかに大事で難しいか、その事を痛感させられたOB会でもありました。

ところで、昨年はクローバーに関わって6年目の年でしたが、初めてのマイナスを経験する大変厳しい年になりました。長期投資とは言え、皆さま、特に最近運用を始めてくださった皆様には随分と嫌な思いをさせてしまったかもしれません。ただ、年末年始の暴落や、その後のアメリカのFRB金融緩和の出口戦略が腰折れになりそうなこともあり、株式市場、特に日本の優良株にとっては魅力的な買い場になっています。長期投資をスタートしようとしている方にとっても良い環境だといえるでしょう。パッシブ投資が超コンセンサスになっている今、いよいよアクティブの時代の到来です。「人のお金」までとはいいませんが、「自分のお金」にはしっかり働いてもらいたいですね。

多根 幹雄